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税金を滞納したまま生活保護になった場合の対処法。差し押さえは回避でき,返済も中断。執行停止が3年続けば納税義務がチャラになる。ただし自己破産による借金免責は対象外,時効も不可能

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生活保護を受給する前に,
過去に多額の税金(所得税や住民税など)を滞納していた場合,
その借金はどうすれば消えるのだろうか?

ナマポ受給中は,たとえ分割払いでも,税金を返済する余裕がない。
家財を差し押さえられる心配はあるのか?

また,自己破産によって,
税金の返済の義務を無効にすることはできるのだろうか?

対処法を下記にまとめておいた。
ちゃんと解決策があるので,下記をよく読んで,あきらめずに対処してほしい。

「滞納した税金が一生残る」,という事態は回避できるから。

(1)生活保護の受給が開始すると,滞納していた税金の請求や返済は中断する

「ナマポ受給者」になったら,税金の返済は止めてよい。
滞納金額の返済は免除される。

生活保護費は,最低の生活を送る分しか支給されないし,
借金の返済に充ててはいけないのだ。

過去の滞納した税金を,納付書を使って分割納付(分納)している場合でも
余っている納付書はそのままに放置してよい。

税金滞納100万がある状態での生活保護認定 - 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/other/1047/b_298970/

  • 税金の滞納の有無は生活保護の受給要件に関係ありません。
  • 延滞している税金は、支払が留保(延納)となるか、支払が免除されます。
  • 生活保護受給前にすでに滞納処分で財産が差し押さえられていた場合は、生活保護の決定の後、執行が停止されます。

(2)税金の場合,自己破産による免責や時効は不可能

まず滞納した税金は,自己破産などで免責はできない。

たとえ生活保護中に自己破産しても,他の借金は消せるけど,税金の滞納は残るのだ。

自己破産の対象外だということ。

※税金のように,自己破産しても消せない借金のことを「非免責債権」と呼ぶ。

自己破産で税金や保険料を免責したい!払えず滞納するとどうなるの?|債務整理のデメリットとは?終わらない借金生活から脱出する方法
https://誰でも分かる債務整理.com/post-19337

  • 自己破産を定める破産法によると、「租税等の請求権は免除にならない
    • 租税とは、上述した税金に加え、地方公共団体から強制的な徴収が認められている所得税や市民税、国民健康保険料や国民年金も含まれています。 これらはすべて「非免責債権」
    • 「非免責債権」とは、免責の効力が及ばない債権のことなので、自己破産しても免除にならない


自己破産しても滞納した税金は払わないといけない?免除される方法とは? - お金の教科書
http://onew-web.net/5179.html

  • 自己破産の手続きをして免責が認められた場合でも帳消しにならない債券のことを非免責債権と言います。
  • 税金は非免責債権に含まれているので、たとえ自己破産をしても税金が帳消しになることは決して無い


また,税金には「時効」の制度がある。


しかし税務署から督促状を送付すれば,その時点からまた時効が繰り上がる。

なので,税金には実質的に時効もない。現実的に期待できないのだ。

市役所とか税務署は事務のプロであり,こういう督促はまめに行なうから。

税金の時効まとめ・所得税や相続税が未納だとどうなる? | お金のカタチ
https://venture-finance.jp/archives/8443

  • 時効はリセットされるので実際にはほとんど逃げ切れません
  • 時効は税務署が督促状を送ったり差押えを行うことで,いったんリセットすることができる。
  • よって税金の時効を迎えることはほとんどないとされている。


未納・無申告で逃げ切れる?所得税・相続税・贈与税など税金の時効
https://money-goround.jp/article/2016/09/14/2991.html

  • 税金未納の時効成立は期待しない
  • 時効成立に淡い期待を抱くのはやめた方が良い


待ってるだけでは,いつまでも借金は消えないし
自分から帳消しにすることもできない,ということだ。

そういうわけで,自己破産と時効は考えないようにしよう。

(3)差し押さえの禁止(執行停止)について

生活保護になっても,税金の借金が残り続けるわけで,
そうなると「差し押さえ」の心配が生じる。

税金の滞納が一定期間続くと,
普通は税務署は職員を派遣し,
滞納者の家財道具などを取り上げて返済費用に充てようとする。


しかしナマポなら,差し押さえは法的に禁止されているので
差し押さえの心配は不要だ。

なぜ,差し押さえできないのか?

実は,ナマポは法的な意味での「生活困窮者」なので,
2号執行停止」という
差し押さえが法律で禁じられた,守られた立場にいる。

だから安心なのだ。

生活保護費の差し押さえは違法 | kasiko[カシコ]
http://kasiko.me/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E8%B2%BB%E3%81%AE%E5%B7%AE%E3%81%97%E6%8A%BC%E3%81%95%E3%81%88%E3%81%AF%E9%81%95%E6%B3%95/

  • 生活保護制度の根拠法となる生活保護法では、生活保護費の差し押さえを禁じている。
    • <生活保護法第58条(差押禁止)> 被保護者は、既に給与を受けた保護金品又はこれを受ける権利を差し押えられることがない
    • つまり、自治体が生活保護受給者から、税金や国民健康保険料の滞納分を強制執行によって徴収することは違法行為
  • 差し押さえを示唆した自治体にこのことを訴えると、「差し押さえの文言は、自主的な納付を促すことが狙いで利用した。実際には(差し押さえは)しない。」との返事


税金を徴収する側からすれば,
一般人の滞納者の給与を差し押さえることはよくある。

しかし,生活保護費を差し押さえることはできない。
それは人間としての最低生活費であり,
最低生活費を取り上げることは,
憲法で保障されている基本的人権(生存権)の侵害となるから。

そういうわけで,生活保護中は,差し押さえの心配はないので安心してほしい。

生活保護で差し押さえにあう事はあるのか | 行政書士・生活保護専門家 小川友樹
http://生活保護.co/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7-%E5%B7%AE%E3%81%97%E6%8A%BC%E3%81%95%E3%81%88/

  • 生活保護費は差し押さえの対象になりません
    • 生活保護法第58条にきちんと書かれています: 被保護者は、既に給与を受けた保護金品又はこれを受ける権利を差し押さえられることがない。
  • 生活保護費は、生活保護を受けている人の命の綱で,差し押さえられてしまったらその人の生存が危うくなってしまう
    • これでは国が最低限度の生活を保障する事ができなくなり,日本国憲法を守れなくなる


税金や保険料の滞納 生活保護費 差し押さえ示唆: 怒っているぞ!障害者切りすて! ネットワーク関西
http://ikari-net.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-d964.html

  • 生活保護法は生活保護費の差し押さえを禁じている。生存権にもとづく最低生活費であるからだ。
  • 「(男性は)催告書の文言を見て生活保護費が差し押さえられると誤信した。違法性が強い文書だ」と強調する。男性は市に返還と滞納処分の停止を求めた。  結局、男性は分納を続ける必要はなくなった


でも,差し押さえの心配がないとしても,そこからさらに心配する人もいる。

  • 「生活保護の受給が終了したら,再び税金の催促を受けるんじゃないの?」
  • 「働き始めて社会復帰したら,滞納していた税金をまた払わなければいけない。脱ナマポは無理だ・・・」

しかしそう考える必要はない。次の項目をみてみよう。

(4)「不能欠損」と「租税の消滅」について (ナマポのまま数年待てばチャラになる)

ナマポ(生活保護の受給中)で,
執行停止のまま三年経てば,税金の滞納はチャラになる

この件について,税法(市民税法及び国税法)の
徴収の仕組みを調べるために必要な用語を知っておこう。

税金を滞納してる人が生活保護になった場合,
差し押さえのできない状態を執行停止と呼ぶ。

その執行停止が三年続くと,該当する分の滞納していた税金は,
なんと徴収をあきらめることになる。

その徴収をあきらめた分の税金のことを
不納欠損」と呼ぶ。


この場合,請求されていた租税は消滅する
つまりチャラになる。

これは知りたい!生活保護を受けた際の税金免除の条件は?滞納税はどうなる? | 生活保護のもらい方とその条件、支給金額はいくら~元担当職員が本音で教える~
http://seihojouken.com/seiho/?p=188

  • 過去の滞納分 税金の滞納分についても、自治体によって多少の対応は違うかもしれませんが「執行停止」扱い等となり、生活保護受給中は、基本的に請求されることはありません
  • 執行停止になった滞納税は、いきなり消滅するわけではありませんが、停止期間が3年間経つと、納入義務は消滅となります。


今、現在、生活保護を受けています。受ける前の国民健康保険税の滞納... - Yahoo!知恵袋
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1436440554?__ysp=55Sf5rS75L%2Bd6K23IOa7nue0jSDlgZzmraIg5LiN57SN5qyg5pCN

  • 生活保護を受けているという窮状を市役所の税務課に訴えれば、2号停止となる可能性があり、執行停止後その状態が3年経過すれば、不納欠損となります。


延滞している住民税で差し押さえなどされて生活に困っています。生活保護を受け... - Yahoo!知恵袋
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14100205669?__ysp=55Sf5rS75L%2Bd6K23IOa7nue0jSDlt67jgZfmirzjgZXjgYgg5Z%2B36KGM5YGc5q2i

  • 生活保護の受給によって、ほぼ2号執行停止がなされるのが通常
  • 生活保護が継続すれば、執行停止も継続し、執行停止が3年継続した場合には、執行停止の対象となった租税は絶対的に消滅する


たとえば重い病気で後遺症があり,
多額の税金を滞納したまま生活保護に陥った。

3年以上経って,後遺症が残ったまま社会復帰したが,
働いても貧しいままなので過去の税金を返済できない・・・

みたいな人もいるだろう。

その人の場合,生活保護の受給期間中に「不能欠損」扱いになっていれば
税金の返済はチャラになっているわけだ。

だから,重い病気やけがなどの事情を持った人でも,
あとからちゃんと社会復帰できるように
法が守ってくれている,ということ。


気になった人は,自分自身が「二号執行停止」の状態にあるのかどうか?を,税務署に確認してみよう。

そうすれば,将来を絶望することなく,
生活保護の受給期間中も希望をもって,
将来の社会復帰に向けてじゅうぶんに療養するなどして,
有意義な時間を過ごしたうえで回復してゆけるはずだろう。


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